読み終わった後、「やっぱりおげれつたなか先生は天才だーー!!」って思った漫画。
随分前に買って読んだけど感想書くのずっと放置してました。
ちょうど「ギヴン」7巻発売日と同じくらいの時期に買ったような気がします。(なんとなく表紙の色合いが似てたから手に取った)
タイトルに「ハッピー」って入ってる割には、表紙の男性の目ェ死んどるやん…って思ってたけど
そこまで不幸な物語というわけではなかったです。(そもそもおげれつたなか作品でバッドエンド漫画って読んだことない気がする)
ミステリアスな青年・ケイトと、底辺ヒモ人間・千紘のお話。
謎の男と底辺ヒモ
主人公、序盤はなんかずーーっと眠ってるな…(笑)
しかもロクな目に合ってない。
電マで殴られるの、あれ絶対痛いよぉ…(恐怖)
あれって実際いざという時にはかなりの鈍器になるよなってくらいの重量感あるよね。
でも千紘みたいな不器用で不憫な涙目の男子っていいよね!その分、たまに見せる無邪気な笑顔の対比がまた良い。
読んでて「うぅっ…」とツラくなったのは、千紘がカメラを取りに実家にこっそり帰るシーン。
鍵変えられて入ることすらできないのに、窓から見える幸せそうな家族写真。
千紘が“絶対に手に入らないもの”として認識しているものがつまっているこの家なんかに入れるわけないよな〜 なんて酷い仕打ち。
おげれつたなか先生の圧倒的画力で、こんなにも美しい絵なのに胸が苦しくなる。
ケイトに関しては、帯で「動くオ○ホみたいだな」とか言ってたから、「相当クズ人間なんやろなぁ」って思ってたけど、読んでみたらそこまで酷い人間でもなかった(笑)
思ってたよりまともだった。(ただし人を電マで殴るけど)
もっと人間の感情を失ったサイコパスのようなキャラだと思ってたけど、ちゃんと人間らしい人間でした。(ごめん…)
同棲生活(?)
千紘とケイトの奇妙な同棲生活が始まるんだけど、千紘はケイトのことを母親がいるってことくらいしか知らない。
ケイトには謎が多すぎる。
千紘に優しいなぁと思ったら、「気持ち悪いからやめて」とか言うし、
おもちゃのアクセサリー(セボンスターかな?)を急にプレゼントしたと思ったら、急にイラつきながらフェラ○オ要求するし(まぁこれはただの嫉妬心からだろうけど)
こんなん、やってることが完全にDV彼氏やん…(笑)
疑問に思ったんだけど、千紘はケチャップないのにどうやってオムライス作ったんだろう。ケチャップなかったらチキンライス作れなくね?多分中身チキンライスじゃないのかな。
千紘の元彼(?)駿一、一瞬ヤリ部の遠野くんかと思ったけど、遠野くんの方がもっと可愛いな。
駿一の笑顔、胡散臭さがハンパない(笑)
ビールぶっかけるところは超名シーンですね。
ここは何度読み返しても痺れるくらいカッコいい。
「お前はいつまでもこんなところでグズってる人間じゃないだろ?」みたいな、底辺からの下克上的な生命力を感じる。
こういうクズ男に「また会いたい」とか言われたら、「あんたエコだね☆」って言い返せばいいのか!勉強になるなぁ。
孤独な2人
見を背けたくなるくらいキツい描写があったから読むのしんどかった…
痛いのはマジで無理…
どう考えても別人であろう母親に、異常なくらい縋るように愛を求めていた理由がやっと分かった。
マツキさん、最初「なんだこの悪趣味なおっさん」って引いたんだけど、この漫画の他の登場人物がクズばっかりなせいで、次第にめっちゃいい人に見えてくる!すごい!!
せっかく千紘が働こうとしたのに、家族とエンカウントしてしまうのがなぁ。絶対に会いたくない時に限ってバッタリ再会してしまうんだよな。タイミングが悪すぎる!!
千紘も家族とは最後までとことん分かり合えないのがツラかったけど、現実ってこんなもんだよなぁとも思った。
「死にたい」と言うケイトに、千紘は「そんなこと言うなよ」とかじゃなくて「…そっか」ってサラッと受け止めるのが良かった。
傍から見たら、愛に飢えた似た者同士がただ慰め合ってるだけのように見えるかもしれないけど、2人の間には確か2人だけの愛が芽生えていたと思う。
まとめ感想
育った環境のせいで、どうしようもない底辺な生活しかできなかった2人だけど
日常のほんの些細なことに幸せを感じる姿が救いでした。
多分、2人ともまともに愛されなかったせいで、特に浩然なんかは不器用な愛し方しかできないんだろうな。
愛されることに飢えた2人に、どうかこれから目一杯幸せになってくれよ!!と心から願う。
カエルの写真のくだりが意味不明だったから、その伏線は2巻で回収されるのかな?
あと加治さんがめっちゃ良いキャラしてた。
お前、なんだかんだ言って普通にいい奴やん…