作者の訃報で初めて知って、本屋で取り寄せた漫画。
可愛らしい表紙だけど絵は少年漫画風で、良い意味でBLっぽくない。
この作者さんは恵口公生名義で「キミオアライブ」という少年漫画も描いていて、こちらは絶筆。
ググったらめちゃくちゃお若い人だった。
才能溢れててまだまだこれからっていう漫画家さんだったのに…
「ボーイミーツマリア」は男子高校生の演劇部のお話。
ヒーローに憧れる熱血男子・大河と、演劇部のマドンナ・優(通称マリア)。
一目惚れした子が、実は女装した男子だった!!
ヒーローに憧れて
実は最初、「大河のこと苦手かもなぁ」って思ってたんですよね。
相手の迷惑とか考えずに思ったこと全部口に出しちゃうし、やたらと熱いし(笑)
「男は女を守るもの」って前時代的な思考でなんだかなぁ…と。
ただ、彼がそういう考えを持つようになった原因がちゃんとありました。
現実にヒーローなど存在しないことなんて分かりきった上で、演じるだけでもいいからヒーローになりたかった。
自分が間違っていれば反省して謝るし、バカ真面目だし、少年漫画の主人公にいそうなタイプ。
周りが「これはヘンだ」と言っても、絶対に影響されない。
↓この台詞がこの漫画で一番好き。
「あいつが ケーキに手ぇ届きやすいような席だけ 空けてて待っててください」
こんなやつがクラスにいたら惚れちゃう…
演じるだけでもいいから
母親が毒親だったため、子供の頃は女の子として育てられた優。
知り合いの男にレイプされた過去。
子供の優が負った傷はあまりにも大きい…
女装しないと舞台に立てない優。
実は大河も優も「演じるだけでもいいからヒーローになってみたい」と、演技における根っこの部分が共通している。
そんな2人が交差することにより、未熟だけど彼らなりの“ヒーロー”が出来上がっていく。
ここらへん、めちゃくちゃ少年漫画っぽいよなぁ。
「俺はお前に憧れてるんだ!お前みたいになりたいんだ!」的な思いをお互い相手に抱いているのは、あるあるですよね。
お互い憧れていて羨ましくて、共に努力することで影響し合う…みたいな。ライバルとはまたちょっと違うけども。
大河の親父、最初は「クズだなぁ〜」って思ってたんだけど、そうだったのか!あの時のヒーローが親父だったのか!!
大河はまだこのこと知らないだろうし、「あの時なんで!?」っていうモヤモヤがずっと心に残ってると思うから、いつか知ってほしいな。
あと大河の友達2人、めちゃくちゃ良いやつすぎん?
親友にしたいレベルで好感度高い2人…
まとめ感想
ボーイミーツ「ガール」でもなく「ボーイ」でもない。ボーイミーツマリア。
BLでありがちなラブラブでエロエロな内容とは全然違って、ただ健全で純粋な(というにはちょっと読んでてしんどくなるシーンも多いけど)青春&成長物語でした。
エロ描写はない(キスはあった)けれど、この漫画を初心者に勧めるにはちょっと重いかな…
空っぽだった大河、トラウマを抱えた優。
傷ついた2人がヒーローへの一歩を踏み出せて本当によかった。
スポットライトを浴びちゃいけないやつなんていないよね!